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ハンス・ウェグナー(Hans J. Wegner)

Hans J. Wegner

Hans J. Wegnerは、1950年代から1960年代にかけ “デーニッシュモダン”を世界に推進させ、人々の家具に対する思考に大きな変化をもたらした、20世紀の家具デザイン界において偉大なる功績を残した人物と称されています。

Wegnerは1914年Tønder (トゥナー ) に靴職人の息子として産まれ、13歳から家具職人であるH. F. Stahlberg の元で修行を始め、17歳にして手工業マイスターの資格を取得した頃には、既に彼の最初のデザインが芽生えていました。20歳の時コペンハーゲンに移り、現在デンマーク王立芸術アカデミーとして知られている学校に、デザイナーとして更なる追求を開始するまでの1936年から1938年まで在籍します。

1940年Wegnerは Arne Jacobsen とErik Moller と共同で、Aarhus(オーフス)の市庁舎で用いられる家具のデザインプロジェクトに携わります。そして同時期にWegnerは、家具職人の師匠でありモダンデザインをデンマークにもたらしたJohannes Hansenとも仕事を共にするようになります。1942年にCopenhagen Industrial Art Museum ( 現在のデンマークデザインミュージアム)は、Wegnerの初の椅子を購入。そして1943年Wegnerは独自のデザイン事務所を設立し、翌年1944年に、中国明王朝時代の皇帝玉座に触発されて作られたチャイナチェアシリーズの最初の作品が発表されます。このシリーズの椅子の一つであり1949年にデザインされたウィッシュボーンチェア(日本ではYチェアと呼ばれています)はWegnerの最も有名な人気作品であり、Carl Hansen & Sønが1950年以来製造を続けています。Wegnerは世界屈指の家具デザイナーとして人々から尊敬され、彼のデザインは今日の私達にも愛される作品であり、細部にまで及ぶ彼のデザインセンスは驚嘆に値します。

Wegnerの作品は世界各国で注目を浴び、1951年に史上初のルニング賞を受賞、1995年にデンマーク王立芸術アカデミーの名誉会長に任命され、1997年ロンドンの王立芸術大学から名誉博士号を授与、同年大阪国際デザイン賞を受賞するなど、優れたデザイナーに贈られる多数の賞を受賞しました。また彼の作品はニューヨーク近代美術館や、ミュンヘンのDie Neue Sammlung(国際デザイン美術館)を含む世界の主要国際美術館にて展示されています。

2007年1月、Hans J. Wegnerは享年92歳でデンマークにて他界されましたが、彼がデンマークデザイン界へ残した功績として3つの事が挙げられます。1つは、家具職人としてスタートしデザイナーとしても成功を果たした上、巧妙な木工技術と絶妙な優美フォ-ムの融合を世の中に導いた事。次に木材に対し深い敬意の念を持ち、生涯を通し素晴らしい天然木材の特質に不朽の関心と追求心を抱き続けた事。そしてミニマリズムに、オーガニックや自然の柔らかなラインを加え新たなスタイルを確立した事です。

Wegnerは500脚以上もの椅子を作製した多作な家具デザイナーであり“椅子の巨匠”と称され、彼の多くの作品が不朽の名作として現代においても世界各国で注目を浴び続けているのです。

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