ポール・へニングセン(Poul Henningsen)
Poul Henningsen (1894~1967)
Poul Henningsenは、世界的に有名なデンマークの建築家でありデザイナー、そして作家でもありましたが、特に彼は世界的に有名なPHランプやパリスランプの照明デザイナーとして知られています。彼は1894年にコペンハーゲン北部の Ordrupで、有名なデンマーク女優のアグネス ヘニングセンと風刺的なデンマーク人作家のカール エワルドとの息子として誕生しました。
Henningsenは、1911年から1914年にかけフレデリクスバーグ技術学校で学び、その後コペンハーゲン技術大学で卒業をせずに建築家としての技術を学びます。Henningsenは1920年以降、数々の住宅、工場、チボリ公園の一部、及び2つの劇場の内装デザインを手掛けるなどコペンハーゲンにおいて独立建築家として活動すると同時に、数社の新聞社や雑誌社に多数の記事を書き、コペンハーゲン劇場のレビユー脚本を数多く書きおろし、詩を執筆、そして“Kritisk Revy”の編集者としても活躍したのです。彼は多様な才能を持ち合わす独学発明者でありデザイナーでもあり、芸術・建築・社会に対して鋭い目を持つ批評家でもありました
Henningsenはコペンハーゲン市内をよく運転していましたが、その際目に映った各家庭においての悲愴な照明の照らされ方にとても衝撃を受け、PHランプは家庭用照明としてデザインされるべきと考えますが、そのモダンな外観やクオリティーの為、最多難かつ最重要課題である家庭用照明デザインは胸の内にしまい、まずはPHランプがオフィスや公共施設に受け入れられねばならないと決断します。しかし彼の人生において一番の目的は、ゆとりの夜に安らぎとくつろぎを人々に与え、生活に美をもたらす照明をデザインする事だったのです。
1924年Henningsenはマルチシェードランプをデザインしますが、これが後にPHランプとして知られるようになった初代作であり、反射塗装された金属バンドの同心円状の層で構想され、ランプシェードのサイズ、形状、及び配置は、光の分散とグレアの量にとても影響する為ランプシェード機能の科学的分析に基づいてデザインされました。このランプはパリ万博においてモダンランプとして初の賞を得た事から“パリスランプ”として知られており、Henningsenは生涯を通してこのパリスランプの原理を持ち続けます。そして翌年コペンハーゲンのLouis Poulsen & Co. のプロダクションに参入して以来現在においても、パリスランプは国際的な人気を保ち続けています。
Henningsenのランプシェードは個々の原理、形状そしてその組み合わせから成り立ち、電球をカバーし光線が複数回反射される事なくテーブルに直接光が差すようにデザインされています。そして壁とテーブルの照明のコントラストがシャープにならないように、普通の照明も部屋の中に加えます。全てのシェードに光源があたり、そして外縁部に向かう程強度が弱くなるようランプシェード内に光が分散される仕組みになっています。これにより例えばオパールガラスの通常の球状ペンダントシェードに見る様な、明と暗の極端な変化を免れる事ができたのです。白色光をスペクトルの赤色端に向けて光をもたらすのではなく、一部のシェードの内側に赤色を加えて光をもたらせたのです。
Henningsenは電気の光でなく石油ランプのソフトな輝きの光の中で育った背景により、彼の生涯に及ぶインスピレーションは、強力な電気の光を利用しながらも石油ランプのようなグレアの無い柔らかな光を演出する照明器具の追求に努める事だったのです。
PHランプのデザインはとてもバリエーションが豊富で、様々な機能やスペースに対応できるように構想されており、生産開始から数年後にはスカンジナビアの世界クラスの機関や一般家庭においてPHランプが使用されるようになりました。
Henningsenはこの成功後もルイス ポールセンのために多数の照明器具のデザインを担いますが、1958年に壮大なるアーティチョークランプをデザインし、科学的原理を根源にしながらも壮大なる温かさと優雅さ、そして情熱を引き出せるスカンジナビアの美の証として世界中から賞賛されるようになります。
Henningsenはパーキンソン病を患い1967年にこの世を去りましたが、彼の意向により彼の遺体は医学研究の為に献体されました。Henningsenは100以上もの照明器具デザインを手掛け、Louis Poulsen & Co.によって現在もその多数が生産され続けています。照明器具のデザイナーとして有名なHenningsenですが、彼がデザインした家具も現在もなおCompany Poul Henningsenによって販売されています。
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